学校生活
〇7月27日(木)
~気仙沼港、気仙沼市震災遺構伝承館(旧気仙沼向洋高校)、杉之下地区、陸前高田市東日本大震災津波伝承館~
朝方から気仙沼港を訪れ、大規模漁港の復興の様子や、場所によっても異なる防潮堤の構造について学びました。建物自体が防潮堤の役割をする仕組みや、波の勢いによってゲートがせり出すフラップゲートなどの技術を学びました。また、震災により被害を受けた三陸鉄道の線路をバス専用路線へと転用したBRTについても、実際の道路を視察し、インフラ整備と暮らしの選択について葛藤する港町のまちづくりについて考えました。
その後、津波による大きな被害を受けたため、現在は震災遺構として伝承館となっている旧気仙沼向洋高等学校を訪れました。昨年度と同様、佐藤健一様に語り部をしていただき、「ハザードマップや被害想定を信じすぎてはいけない」という言葉から、自然の前にはあまりにも無力な事を改めて突き付けられました。当たり前の日常が一瞬にして消え去ってしまう、津波の猛威と恐ろしさについて学び、有事の際に命を守る行動をとる必要性をひしひしと感じました。
次に、大規模なかさ上げによる多重防御でまちの復興を行っている岩手県陸前高田市を訪れました。東日本大震災津波伝承館「いわてTSUNAMIメモリアル」で被災者の方が語る当時の様子について知りながら、山を切り崩して高台集団移転、かさ上げ区画整理事業を行ったまち全体の様子を見ることができる場所に行き、震災前の当たり前の暮らしがあったまち、私たちの住む南予地域のまちと重ね合わせながら、復興とまちづくりの在り方について考えました。最後に、陸前高田市防災対策本部を訪れ、住民からの聞き取りを重ねながら行政の立場から復興に取り組んでこられたお話を伺いました。避難やまちづくりで起きた様々な問題、地域住民と行政の合意形成の難しさ、その分日常から地域を密接につながっていることの大切さを学びました。
災害発生の前から、どのようなまちにしていきたいか、未来の姿について様々な立場から考え、合意形成をしておくことが大切です。





学校生活
〇7月26日(水)
~宮城県仙台市荒浜、女川町、旧大川小学校震災遺構、石巻市雄勝、石巻市北上町~
二日目はまず、仙台市平野付近の多重防御による復興まちづくりを学ぶため、住宅基礎の遺構が残る荒浜を訪れました。女川町では、復興の拠点となった「シーパルピア女川」を訪れ、町が土地を整備し、外部からテナントとして入ってもらう道の駅の様子を視察しました。ここでは、復興策を考える際に「還暦以上は口を出さず」という方針で、次の世代に町の将来を託したという話がありました。
その後、南予地域と同じくリアス海岸、狭い土地で行われている復興まちづくりを視察するため三陸海岸に移動しました。住民の合意形成による復興の難しさや、人命を守ることを最優先で建設された巨大な津波防潮堤の実情について学びました。
午後からの、旧大川小学校災害遺構では、震災当時の児童たちの動きを辿りながら、災害発生時の行動・判断・複雑に絡まり合う避難の状況に向き合いました。「山は命を守らない、山に登るという行動が命を救う」という昨年度語り部をしていただいた、佐藤敏郎様の言葉をもとに、知行合一の大切さを改めて考えることができました。
北上町では、住民の中心となって復興を行ったNPO法人ウィーアーワン北上の代表理事、佐藤尚美さんからお話を伺いました。被災者の合意形成の実態や、後世に残したい町の未来について考え、故郷の荒れ地を杜に再生する「平地の杜プロジェクト」について教えていただきました。実際に現地で杜の再生の様子を見学し、非居住区域となった土地の未来について考えることができました。
「災害以前のまちに戻すのは復旧、以前のまちよりも魅力的で素敵なまちにしていくのが復興」だと学びました。





学校生活
7月25日(火)~28日(金)の4日間、総合的な探究の時間「防災・まちづくり分野」選択生の5名が、南海トラフ地震発生を想定したまちづくり(事前復興)について学ぶ研修に参加しました。
愛媛大学教授、東京大学院生、宇和島東高校の生徒4名とともに、宮城県と岩手県の復興の様子について実際に自分の目で見て、現地の復興に携わっている方々からお話を伺い、学びを深めていくプログラムです。被災状況や復興の方法は各地域や地区ごとに大きく異なっています。
東日本大震災から12年が経った今、新聞記事等で「復興に成功したまち」として紹介されているものの、「この復興は正しかったのか」と苦悩している方々もいるという現実を知りました。
自分たちの住んでいるまちがどのような姿になるのか。また、自分たちの手でどのような姿にしたいのか。現地で自分の目で見て、それぞれの立場・視点からの震災についてお話を伺える大変貴重な経験となりました。
〇7月25日(火)
~東京大学工学部社会基盤学科にて事前講義~
東京大学羽藤英二教授、院生2名による事前講義を受けました。東北での実地研修の前に、復興のまちづくりを捉える5つの視点、①地形の特徴と土地利用、②海との関係、③各まちの拠点、④産業の再生、⑤まちの歴史について事例を合わせて講義をしていただきました。そして、生徒たちは①~⑤のうちどのテーマに焦点を置いて研修の臨むかを考え、意見を共有することができました。講義後は、東京大学構内の各所にある関東大震災の遺構について羽藤教授に案内していただきました。
東京大学の教授や院生たちと関わることができ、生徒たちも多くの刺激を受けていました。東北の復興策について講義を受けながら、愛南町と照らし合わせながら、事前復興について各々が考えを深めることができました。




おしらせ
8月7日(月)、愛媛県中村時広知事と意見交換を行う「知事とみんなの愛顔(えがお)トーク」がオンラインで行われ、高校生ができる地域活性化策について意見交換を行いました。中村知事からは「愛南町は食、自然、人とのつながりなどの財産があります。何が活性化につながるかを考えてみてください」などといった意見をいただきました。
中村知事と意見交換した2年生井上さくらさんは、良い経験ができました。私たち高校生だからこそできることを考えて、地域の活性化に貢献したいと思います。と意気込みを見せていました。

愛媛新聞 2023年8月8日付 学校魅力向上策知事と意見交換
掲載許可番号d20230808‐05